2月定例会予算特別委員会より

DSC_92461,持続可能な財政運営と平成26年度当初予算の特色について

本県の平成26年度当初予算6,010億円は前年度に比べると1,1%減となり、県債残高も1,3億円減少した。これは財源不足の61億円を財政調整のための基金を取り崩して編成され、これは吉村知事が予算編成を始めた平成21年度以来、財政健全化を目指し県債残高を減少させるという目標が、地方交付税の代わりに発行する臨財債が国の方針に左右され左右され増加を続けていたものを初めて前年度を下回る見通しをつけたものと評価することができ、県政の諸課題に前向きに取り組んだ積極的予算編成といえる。県債残高減少の背景について、吉村知事は「少しでも発行を抑制したいという県の努力と、再三国に要請してきた臨財債から地方交付税への振り替えも進んだ」と、報道に対し応えている。

しかし、後の世代に先送りする借金であることは変わらない。人口減少や超高齢化社会、グローバル社会などに対応した地域産業の振興や雇用の安定を始め、大災害への対応など取り組むべき課題も非常に多い。国の平成26年度末の公債残高も780兆円と見込まれており、国の財政状況には未だ厳しいものがある。従って、本県においても充分に的確に対応した持続可能な財政運営を行うことが重要で、そのためには県の「自然と文明が調和した理想郷山形」の実現に向けた更なる財政の健全化に取り組むべきであると考える。

なお、財政の健全化を示す指標の一つとしては自治体の収入に対する負債返済の割合を示す実質公債費比率というものがある。わが山形県は全国平均14.8%に対し14.2%(平成24年度)であった。25%以上が「健全」とされ、18%以上ならば起債制限比率として国や都道府県の許可を得て新たに地方債を発行できるとしている。

2,介護保険制度について

(1)県内における地域包括ケアシステム構築の進め方について

近年、わが国では3人で1人を支えるという超高齢化社会といわれ、介護保険の総費用は制度の始まった平成12年度に3兆6000億円だったのが、平成25年度には約21兆円まで増加すると予測されている。今年平成24年2月に「社会保障・税一体改革大綱」が閣議決定され、年金・医療・介護などの社会保障を持続可能なものとする方向性が示され、国政レベルでの制度化が図られてきている。なかでも、高齢者が可能な限り住み慣れた地域で自立して生活できるよう支援することが求められている。しかし地域の実情に応じた体制を構築する必要から、実施主体の市町村を含めた地域包括ケアシステムを構築する施策を推進する必要がある。

【回答】

介護の必要な高齢者支援は生活全般にわたるサービスが一体的に提供される必要がある。地域包括ケアシステムはそのためのものであり、その構築のためには高齢者に対するニーズ調査を全市町村に向け実施し、必要な地域資源の把握と新たなサービスづくりを行う必要がある。そのために、山形県では高齢者の自立を促すためのサービスづくりを検討している市町村だけでなく、平成26年度には「地域ケア会議」のアドバイザー派遣を全市町村へ拡充する。

またシステム構築のために市町村長を対象としたトップセミナーを開催するなどして市町村を支援していく。その後押しのために「高齢者等安心生活構築推進事業」として新たな助成制度を設けた。更に慢性的な疾患の多い在宅療養の高齢者を支援するため、市町村レベルで介護サービスと在宅医療の連携を図ることも重要である。介護が充実しないと在宅医療も成り立たない。

連携促進に向け、医師会や関係団体との意見交換を行い課題の把握に努めている。
一方、ロコモ予防キャンペーンや先進事例を学ぶ研修会を開催するなどして介護予防の取り組みも進めている。県では地域包括ケアシステムの構築のため、これら取り組みを加速的、重層的に支援することとしている。

(2)訪問介護及び通所介護の市町村事業への移行について

平成24年4月、介護保険法が一部改正され、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される「地域包括ケア」の実現を念頭においた内容となった。訪問介護(ホームヘルプサービス)と通所介護(デイサービス)の要支援者向けサービスについては市町村が実施主体である地域支援事業に移行することになった。

これにより、保険給付適用の場合は介護事業所に対する人員基準や運営基準を遵守する必要がなくなると考えられ、サービスの低下が生じるのではないか。また地域支援事業は国から予算の上限額が決められているので、場合によってはサービスが利用できなくなることも生じるのではないかと懸念されている。

国は要支援者が自らの裁量で必要なサービスを考えなければならない方向に舵を切ったことになる。制度の見直しが必要ではないか。

【回答】

市町村事業への移行は、身体介護を必要とする人や認知機能が低下している人に対しては、県・市町村から指定を受けた介護事業者より専門的な支援を受けられるようにする。そうでない人は、自立した生活がより長く継続できるサービスの選択を地域づくりの視点を含めて考えていけるようにしたい。

地域支援事業への移行については、後期高齢者数の伸び等を勘案して予算が設定されると予定している。仮に市町村の事業費が上限を超える場合は国の費用状況を見極めつつ、個別に判断する仕組みも検討する必要がある。注視していきたい。

(3)特別養護老人ホームの入所要件及び利用者負担の見直しについて

特別養護老人ホームに入所できるのはこれまで要介護1以上とされていたが、平成27年4月から新たに入所する場合、原則、要介護3以上に重点化されようとしている。要介護1、2の人はどうなるのか、見直しが必要であろう。また、現行一律1割負担の医療費が2割負担になることについては、高齢者世代にとってはサービスの利用控えや介護保険サービスの利用が減って医療受診の増加につながるのではないかという指摘がある。

こうした特別養護老人ホームの入所基準の厳格化は、入所待機者を減らし、施設サービスの対象者を絞り込むのが狙い。介護が必要な高齢者が自宅で生活できるような体制の整備や家族へのケアが急務である。

【回答】

特別養護老人ホームへの入所を要介護3以上と限定するのは、在宅生活が困難な中重度の要介護者を支える施設としての機能に重点化しようとするものである。要介護1、2の人に対しては特別養護老人ホーム以外では生活できない場合に限り特例とした入所を認める方向で検討している。また入所していて要介護の状況が変わっても特例的に引き続き入所できる見込みとなっている。

次に、利用者の2割負担については本県では被保険者の13%程度の人が該当する。また、高額な医療が必要な人の介護保険については、世帯合算で月額44,400円が利用者負担の上限となる予定である。こうした軽減措置もあるが、サービスの利用控えや医療受信者数への影響については今後の推移を注視していく。

3、農業問題について

(1)米政策の見直しに対応した中山間地域農業の振興について

日本の農政は、2004年の「米政策改革」に回帰するとともに今日、環太平洋経済連携協定(TPP)参加をめぐる対策など二転三転し見直されようとしている。国は農業の体質強化に向け、農地の集積・集約による規模拡大を進めるとしている。しかし条件の悪い中山間地域は人材不足や交付金の削減などにより離農する農家が後を絶たず、農地の荒廃や集落機能の低下が危ぶまれている。

懸念する材料は更に国が5年後に減反を廃止する方針を打ち出していることにも伺われ、米価が価格競争の渦に巻き込まれることも考えられる。中山間地域の農家にとっては規模拡大が難しいのは目に見える状況にもある。6割が中山間地域である本県にとっては重大な問題である。

【回答】

見直しには他に、経営所得安定策の対象者が重点化され、中山間地域の農家がその対象から外れる怖れがある。この対応策は、認定就農者には経営改善計画の認定等を満たすよう支援したり、集落営農に対してはJAの主導的な役割を期待し地域の実情に即した組織化を図ったりして推進していく。

県単独の新たな支援策として今後の水田農業のあり方を考えた場合、主食用米偏重の生産体制からの転換を図る必要があり、農業社の創意工夫ある取り組みや園芸作物等の戦略的な生産拡大、農産加工など6次産業化の施策を引き続き推進していく。

これは、中山間地域にとっても期待できる取り組みであり、今後の本県にとって不可欠な農業振興策である。地域資源を起点とし、地元の観光や食品製造、建設など関係事業者とも連携して6次産業化を高めていくことは、地域コミュニティーの維持や交流人口の拡大が図られ、さらには新規就農や雇用創出にもなり地域活性化につながる。このたびの米政策の見直しを大きな農政転換の機会と捉えていきたい。

4,県民のライフラインである水道用水の安定供給対策について

(1)豪雨災害の教訓を踏まえた広域水道事業の運営について

昨年7月の豪雨による村山広域水道の給水停止という事態を受けて、災害時の濁った水を処理する体制については専門家による浄水能力強化検討委員会が話し合いを重ねてきている。

結果、県では災害時でも通常の給水量を確保できるよう設備の機能強化を含め予算を計上した。当然、他の広域水道でも同様の災害を予想する必要がある。緊急時にも迅速かつ的確に対応できる職員の技術やノウハウの継承などすべての広域水道に共通する課題であると考える。引き続き、教訓を踏まえた今後のハード、ソフト両面にわたる広域水道事業の運営がなされる必要がある。

【回答】

ハード面では濁った水が増えないよう浄水処理能力を強化すること。ソフト面では給水制限や停止になる目安を予め知ることができるように情報の共有化を図ることなどがある。いずれについても受水団体との連携を取りながら、災害に備えた対応策としてマニュアル等の見直しを検討している。そのための技術研修会等を通じ組織的な危機対応力の強化へつなげていきたい。

(2)村山広域水道受水市町の連携強化について

災害時の浄水や受水の機能強化策により大規模な断水を回避できる可能性が高いことが分かった。そこで水の安定供給のためには受水市町連携強化がより重要になる。県では「水道事業関係機関対策会議」で協議を進められているが、広域水道の運転状況などの情報の共有や、市町の受水との県水の必要量との調整なども連携強化策の検討事項とする必要がある。

【回答】

検討委員会の豪雨時のシミュレーションによって、受水市町の水道施設や地形の違いから1市1町で断水が起こることが見込まれ、受水市町間で一定の水の量を融通することができれば1市1町も含めた全ての受水市町で断水を回避できるという結果が出た。よって企業局が給水制限すると判断した場合でも、企業局と受水市町間で情報を共有し合えば、配水池など自己水源の活用ができる市町から断水の危険性のある市町へ受水量を調整、融通できる。

また濁ってしまい影響を及ぼす量を超えた場合でも、配水池の高水位を確保しておく対策が講じられることとなった。
県は災害時でも安定的な水道用水の供給が図られるよう、今後も関係市町間の調整及び支援に万全を期している。